たんすの中に
ラコステのポロシャツが眠っている。
胸にはもちろんトレードマークのワニ。
定価14,000円。高い。
忘れもしない、2年前の夏。
ブランド服をほとんど買わない僕が、
いつかのデート用にと思って、えいやっ!と購入したものです。
そしてこの服は、
依然として未使用のまま。。。
デートのチャンスがなかったのなら、
もったいないし、普段使いにすればいい。
そう思うのが人情ですが、
僕にはそれができない。
そのワケは、胸に光るワニのマークから、
僕の下心を見透かされるのが恥ずかしいからなのです。
例えば、
ふだんユニクロをメインに着ている僕が、
いきなりラコステのポロシャツを着て
友人の前に出ていくとしましょう。
友人たちは、まず驚き、
次に、その理由に思いを巡らせるはずです。
そして、思うはずです。
「気になる人でもできたのかな?」
つまり、
「異性の目を意識して」
ラコステのポロシャツを買ったのではないか、
と思う気がする。
それが図星だから、恥ずかしいんです。
そう、僕がこのポロシャツを買った理由は、
デートのときに異性の気をひきたかったから。
純度100%の下心です。
胸にワニのマークがついていれば、
それはブランド物の服だとすぐに分かるし、
そうすれば、ファッションに無頓着な僕であっても、
女性からの減点を最小限に抑えられるはずだ。
つまり、異性の目を意識して、
ちょっとでも自分の評価が上がるように、
おしゃれに気を遣える人だと思ってもらえるように、
買ったわけです。
逆にいえば、その目的しかなく、
ラコステとユニクロのポロシャツを比較して、
前者に何かの優位性を認めたわけではない。
デザインも色合いもシルエットも。
僕に分かる両者の違いは、たった一つ。
それは胸についたワニのマーク。
それだけ。
僕は、異性の気を引きたいがため、
純粋な下心で、
ワニのマークに14,000円を払ったんです。
そう。
デートであれば、
僕の評価を上げるために働いてくれるはずのワニ。
でも、普段着として友人の前に立った途端、
「異性の気をひきたい」という僕の下心を
分かりやすく周囲に伝えることになる。
そして、その下心は、
たやすく周囲に伝わる。
だから、恥ずかしくてたまらない。
だから、友人の前に着ていけない。
結局。
僕がこのポロシャツを着れるのは
デートのチャンスがきたときだけ。
僕のワニは、
その日をずっと待ち続けています。
fin
p.s.
着て友人の前に出るのが恥ずかしいのなら、
一人で出かけるときにだけ着ればいい。
そう思われる方もいるかもしれません。
でも、それはそれで、14,000円ていう高価なものでもあるし、
どうせなら大切なデートのときのためにとっておきたい(永遠にこない可能性もある)、って思っちゃうんですよね。
面倒くさい人ですね、僕は。。。
fin
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